改正著作権法は、既に2013年1月1日から施行され、違法ダウンロード刑罰化に関する規定や、DVDリッピング違法化にかかわる規定などは、2012年10月1日から施行されています。
今回の改正内容は、一般の人にも関係の深い内容なので、より正確な内容を理解するため、著作権を担当(所掌)している文化庁の公開資料をもとに紹介します。
なお、文化庁の下記ホームページでは、今回の改正内容の情報をたくさん紹介されており、便利です。
平成24年10月1日施行 違法ダウンロードの刑事罰化について | 文化庁
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/online.html
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■ 著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備と違法ダウンロード行為の刑罰化
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2012年10月1日施行の、違法ダウンロード刑罰化に関する規定や、DVDリッピング違法化について、著作権に詳しい、一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会の久保田裕専務理事さんの、分かりやすい解説が以下で紹介されています。
【情報モラル】著作権教育の取り組み方 著作権法改正|教育マルチメディア
http://www.kknews.co.jp/maruti/news/2012n/0806_4a.html
ポイントを、この記事から抜粋して紹介します。
(1) 違法にインターネット上に公開されている有償の音楽・映像を、そうと知りながらダウンロードする行為には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、あるいはその両方が課せられることになります。
(2) ダウンロード行為すべてが刑事罰の対象となるわけではなく、対象となるのは一般に販売されている音楽や映像を、勝手にアップロードしているサイトからダウンロードすることだけです。
(3) 著作権者等の権利者が自らアップロードしている動画や著作権者等の許諾を得てアップロードされている音楽は、これまで通り私的使用目的の複製として著作権者の許諾なくダウンロードすることができます。
(4) アップロードされている動画をそのサイトで視聴する行為は著作権侵害には当たりません。
(5) リッピングについては、技術的保護手段を回避して行う複製が私的使用目的であっても違法となります。レンタル店から借りた音楽CDをリッピングする行為は、今回の著作権法改正では影響を受けず、これまで同様に著作権者の許諾なく行うことができますが、レンタル用DVDをリッピングする行為は違法です。ただし、刑事罰は規定されていません。
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■ 平成24年の著作権法改正の概要
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平成24年の著作権法改正の概要を、下記の内容から紹介します。
平成24年通常国会 著作権法改正について 文化庁 http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h24_hokaisei/
改正の趣旨は以下です。
(1)いわゆる「写り込み」(付随対象著作物の利用)等に係る規定の整備
(2)国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信等に係る規定の整備
*(3)公文書等の管理に関する法律等に基づく利用に係る規定の整備
*(4)著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備
*(5)違法ダウンロードの刑事罰化に係る規定の整備
この法律は、既に平成25年1月1日から施行され、上記の*の(3)、(4)、(5)については、その前年の平成24年10月1日から施行されています。
今回の改正では、違法ダウンロード行為に対する罰則(違法ダウンロード刑罰化)が加えられたほか、DVDなどに用いられる「CSS」などの暗号型技術を回避して行う複製が違法(刑事罰はなし)となること(DVDリッピング違法化)などが盛り込まれています。
上記の文化庁のサイトの中の「改正法Q&A」で改正内容が分かりやすく説明されています。以下、一部紹介します。
■問6-1 暗号方式を技術的保護手段の対象とすることにより,どのような規制が強化されるのでしょうか。(第2条第1項第20号等関係)
『(答)
DVD等に用いられる暗号方式の保護技術を新たに技術的保護手段の対象とすることにより,第30条第1項第2号において,私的使用目的であっても,技術的保護手段の回避により可能となった複製を,その事実を知りながら行う場合には複製権侵害となり,民事上の責任(損害賠償など)を負うこととなります。ただし,刑事罰はありません。
なお,技術的保護手段の用いられていないCDを私的使用目的で複製すること(例えば,携帯用音楽プレーヤーに取り込むこと)は,著作権侵害とはなりません。』
■ 問7-4 違法に配信されている音楽や映像を視聴するだけで,違法となるのでしょうか。
『(答)
違法に配信されている音楽や映像を見たり聞いたりするだけでは,録音又は録画が伴いませんので,違法ではなく,刑罰の対象とはなりません。
違法となるのは,私的使用の目的であっても,著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画(・・・・・・・)を,自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害する行為です。』
■問7-5 「You Tube」などの動画投稿サイトの閲覧についても,その際にキャッシュが作成されるため,違法になるのですか。
『(答)
違法ではなく,刑罰の対象とはなりません。』
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■ 違法ダウンロードが罰則の対象となることについて知っておきたいこと(文化庁)
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「違法ダウンロードの刑事罰化」については、下記の文化庁のQ&Aは、一般用、子ども用の解説があり、簡単に分かりやすく説明されています。
(1) 違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/download_qa/pdf/dl_qa_ver2.pdf
(2) 違法ダウンロードが罰則の対象となることについて知っておきたいこと(子ども用)
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/download_qa/pdf/dl_qa_child_ver2.pdf
なお、(2)は子ども用に文化庁が作成したものですが、大人にも役立つ内容です。その中から、代表的なものを以下に紹介します。詳しくは、上記の資料を参照下さい。
■(2)のQ1 そもそも違法ダウンロードとは何ですか?
『しかし、インターネット上にある音楽や映画の中には、作者(アーティスト)に無断で掲載(アップロード)されたもの(これを海賊版と言います)もあります。
たとえ自分自身で楽しむことが目的であったとしても、海賊版の音楽や映画を、海賊版であると知りながらパソコンなどに取り込むこと(ダウンロード)を「違法ダウンロード」と言い、刑罰はないものの、違法な行為です。
特に、これらの音楽や映画が、CDやDVDとして正規に売られている場合などには、違法ダウンロードが刑罰の対象になる可能性が出てきます。
なお、違法ダウンロードの対象となる行為は、音楽の場合のように録音することや、映画の場合のように録画することを指します。』
■(2)のQ5 海賊版Q5 の音楽や映画を見たり聞いたりするだけで、刑罰の対象になるのですか?
『単に見たり聞いたりすることは、違法ではなく、刑罰の対象にもなりません。
法律違反となるのは、あくまでも海賊版だと知りながら、音楽や映画を、録音したり録画したりすること
です。』
■(2)のQ6 友達から送られたメールについている海賊版の音楽や映画のコピー行為
『違法ではなく、刑罰の対象とはなりません。
違法ダウンロードの「ダウンロード」とは、音楽や映画の海賊版について、ホームページ上にあるもの
を、インターネットを通じてダウンロードすることです。
メールで送られてきた海賊版を自分のパソコンにコピーする場合は、ホームページ上にあるものをイ
ンターネットを通じてダウンロードする場合に当たりません。』
(注)ただし、音楽や映画をメールにコピー(添付)して送る場合、メールを送る人が、家庭内や家庭内に準ずる限られた範囲を超えてメールを送ると、そのメールを送る際に行われる音楽や映画のコピーは、原則として違法。
■(2)のQ7 個人で楽しむためにホームページ上にある写真や漫画を自分のパソコンにコピーする行為
『個人で楽しむ場合は違法ではなく、刑罰の対象にはなりません。
違法ダウンロードの「ダウンロード」とは、音楽の場合のように録音することや、映画の場合のように録
画することをいいます。
写真や漫画を自分が見るためにパソコンにコピーすることは、録音や録画に当たりません。』