2014年6月30日月曜日

著作権の基礎知識 他人が作成した文章・画像を利用するときの注意事項

改訂:2015.6.28 分かりやすい内容に全面修正

インターネットのブログ・SNSでの情報発信で、他人の文章や写真を勝手に利用していませんか?

インターネットで情報発信する場合、他人が作成した文章・画像を勝手に利用すると著作権侵害となり、「著作権法」で罰せられる可能性があり、注意が必要です。

今回は、ビジネス著作権検定で著作権法を学んだ経験、及びこれまでのブログ・SNS活用の経験から、インターネットで情報発信する場合に、気をつけたい著作権法の基礎を紹介します。

また、著作権に関係の深い、他人の写真を勝手に公開してはいけない「肖像権(しょうぞうけん)」、「パブリシティ権」についても紹介します。



なお、「著作権法」と聞くとなんだか難しい話になりますが、簡単に言うと次のようになります。

(1) 作成した文章・画像など(著作物)が勝手に利用されるのを防ぎ、
(2) 他人が作成した著作物を利用する場合、どのような点に注意したらよいかを定めた法律です。



著作権法には、「私的使用の範囲ならば利用可能」という原則があり、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」であれば、他人が作成したものを勝手にコピーしたり利用可能です。

但し、インターネットや会社などの”公の場”は、”私的使用の範囲”を越え、他人が作成した文章・画像などを勝手にコピーして利用することはできません。

インターネットでは、たとえ、個人による情報発信でも、その情報は世界中に発信され、公の場に発信されるので、他人が作成したもの(文章・画像など)を勝手に発信すると著作権違反になります。

例えば、以下のような行為は、著作権法違反、つまり法律違反となります。

・インターネットにある情報や、新聞・雑誌などの記事の内容を、そのまま勝手に利用
・画像をブログやホームページに勝手に利用
・持っているCDの音楽を動画に付けて公開
・他人が写った写真を勝手に公開 *この場合は著作権ではなく”肖像権(しょうぞうけん)”を侵害


もし、著作権法に違反した場合、最悪「10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金」という重い罰則(窃盗罪(せっとうざい)と同じレベル)が科せられる可能性があるので、注意しなければなりません。

しかし、現実的に、他の人が作成した文章などを利用できないと、かなり不便です。

そのため、個人的に利用する場合(私的使用)、自分の文章の説明として利用する場合(引用)、学校の授業や試験問題で利用する場合などは、利用してもOKですよと、著作権法には事細かく記載されていますので、よく理解することが大事です。


なお、インターネット上に公開してある画像等で、”フリー(自由に使って下さい)”と表示されている場合は利用が可能です。但し、画像利用が”フリー”の場合でも、画像サイズを小さくしたり色を変えたり等の編集や、商用での利用を禁じている場合がありますので、ホームページにある"利用時の注意事項"を充分確認下さい。


実は、著作権法は著作物を作る人ばかりでなく、利用する人もよく考えている”暖かい法律”です(妙な表現ですが)。

なお、著作権全体については、以下のサイトに分かりやすく紹介されていますので、参考にして下さい。

 みんなのための著作権教室 KIDS CRIC  *子供向けですが大人にも役に立ちます!!
 http://kids.cric.or.jp/index.html

 著作権なるほど質問箱
 http://chosakuken.bunka.go.jp/naruhodo/

また、著作権に関する教材・資料については、下記の文化庁のホームページで公開されています。特に、”著作権テキスト”は約180ページもあり、著作権を学ぶ上で、役に立つテキストです。

 著作権に関する教材,資料等|文化庁
 http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/kyozai.html




■ 著作権で守られるもの


著作権で守られる著作物の定義は以下になっています。

 「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」

結果的には、

「子供が作成していようと、芸術性が無かろうと、個性が表現されていれば、作成されたものは全て著作物」

になり、著作権で保護されています。なお、保護されているものには、主に以下があります。


・言語の著作物・・・言葉によって表現されたもの、インターネットの情報、本・新聞などの記事
・音楽の著作物・・・曲だけでなく曲と同時に使われる歌詞も著作物
・写真の著作物・・・人や風景などを撮影した写真
・映画の著作物・・・映画フィルムやCD、DVDに記録されている劇場用映画・アニメなどの動画のこと
・プログラムの著作物・・・コンピュータプログラム
・舞踊または無言劇の著作物・・・日本舞踊、バレエ、ダンスの振り付けなど
・絵画、版画、彫刻そのほかの著作物・・・形や色で表現される著作物で、マンガなども含まれる



■ 著作権とは


作成した文章、画像、音楽などの著作物は、作成者(著作権者)のもので、法律「著作権法」で守られている著作物です。

その為、他人が作成したものを、自分のホームページ・ブログ・SNS等に、勝手に利用してはいけません。勝手に利用することは、”複製権(コピーして利用する権利)”などの著作権で規定された権利を侵害し、著作権に違反したことになります。


著作権法に違反した場合、以下のように重い罰則が科せられますので、十分注意しなければなりません。

(1) 著作権・出版権・著作隣接権の侵害
   ・・・10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金

(2) 著作者人格権・実演家人格権の侵害
   ・・・5年以下の懲役又は500万円以下の罰金

なお、著作権には「両罰規定(124条1項1号)」があり、従業員が著作権法に規定する犯罪を行った場合には、行為者本人だけでなく、その使用者である法人も共に罰せられます。法人に対する罰金は、3億円以下の罰金と巨額です。




■ 著作権で守られている権利とは


著作権で守られている権利には大きく、2つあります。

通常、著作権というと「著作財産権」のことを言いますが、著作者の人格的利益を保護する「著作者人格権」もあるので注意が必要です。


(1) 著作財産権 -著作物の利用を許諾したり禁止する権利(経済的に「損をしない」こと)

(2) 著作者人格権 -著作者の人格的利益を保護する権利(精神的に「傷つけられない」こと)



著作財産権には多くの権利がありますが、以下の2つが代表的です。

(1) 複製権・・・著作物を複製する権利のことで,著作権の最大の目的です。
(2) 公衆送信権・・著作物を公衆に対して送信する権利です。


著作者人格権には以下の3つがあります

(1) 公表権・・著作物を公表するかしないかを決定できる権利
(2) 氏名表示権・・著作者名を表示するかしないか、表示する場合にどのように表示するかを決定できる権利
(3) 同一性保持権・・著作物の内容や題号を、自分の意に反して無断で改変されない権利



■ 特に注意したい「複製権」と「公衆送信権」


著作権法は、作成されたものに、著作財産権として、いろいろな種類の権利を定めていますが、インターネットの情報発信で、特に重要な権利は、「複製権」と「公衆送信権」です。

まず、「複製権」ですが、「著作物のコピーを作成する権利」で、著作権の中で代表的な権利です。

この権利が作成者に与えられているために、他人が作った文章や画像をコピーしたら、作成者の権利を侵害することになります。


インターネットのホームページ・ブログなどには、文字、写真などがありますが、これらをコピーして、自分のブログやホームページなどに勝手に利用すると、作成者の複製権を侵害し法律違反になります。

もし、利用する場合は、自分で作成した内容を補足する形(引用の範囲)で利用する必要があります。自分で作成した箇所が”主”で、他人のものが”従”であることが必要です。


次に、重要な権利は、「公衆送信権」です。この公衆送信権とは、著作物を公衆に対して送信する権利です。簡単に言えば、作成したものを、ホームページ・ブログ・SNS等で公に公開する権利が「公衆送信権」になります。

公衆送信権には、「送信する行為」だけでなく、インターネットに著作物をアップロードすることなどを意味する「送信可能化」という行為にまで及びます。

以上のことから、他人が作成したものを無断でコピーし、インターネット上に公開すると、「複製権」及び「公衆送信権」の2つを侵害するということになります。




■ 他人の文章を利用する場合の注意事項(引用)


他人が作成した文章は、ある条件を守れば、引用し利用することが可能です。

引用する場合には、文章の質的にも量的にも、自分の文章が「主」、引用部分が「従」という関係にあることが必要です。

自分のオリジナルの文章が多くを占め、自分の文章の説明や補強として、他人の文章を利用する(引いてくる)というのが引用です。新聞などの記事をコピーし、自分の文章が全く無い場合は、引用に当たらず、著作権を侵害することになります。


以下に引用時の注意事項を示します。

 (1) 公表された著作物であること。

 (2) 他人の著作物を引用する必然性があること。

 (3) かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。

 (4) 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。

 (5) 出所(出典)の明示がなされていること(引用部分の作者名・作品名、ホームページのURL等)。

 (6) 引用する内容を変更しないこと(勝手に変更すると著作者人格権の同一性保持権を侵害)



(注)(6)について、文章の途中を省略する場合は「・・・・(中略)・・・・・」と書くと良いですね。



■ 他人のホームページからの画像の利用

他人が作成した画像データを勝手に利用するのは著作権侵害になるので、注意が必要です。なお、フリー画像を公開しているサイトの画像は利用可能です。

但し、個人的利用はOKだけど商用はNGのような場合も多々あるので、”利用時の注意事項”を充分確認することが必要です。


例えば、”利用時の注意事項”に、

「画像はフリーですが、そのまま使うことを条件にフリーにしています。画像の大きさや縦横の比率を変えて利用しないで下さい」

という注意書きがある場合もあります。この場合、画像を利用するときは、元の画像のままで利用しないといけません。



■ 持っているCDの音楽もインターネット公開用には使えない


CDの音楽をデジタル化(MP3等)して利用するのは、私的範囲(個人的、家庭内などの限られた範囲)であれば、OKです。

ただし、自分のCDの音楽をインターネットに公開したり、作成した動画の音楽に使うのは、私的な範囲を超え、違法(著作権侵害)になります。

CD製作会社や音楽製作者の複製権、公衆送信権(送信可能化権)を侵害し、違法になり、訴えられる可能性があります。

音楽を使う場合は、フリーな音楽素材を利用することが必要です。例えば、下記のサイトで公開されているクラシック音楽は、個人の動画編集から企業のコンテンツBGMまで、公開、非公開、商用、非商用を含め、利用が可能です。

 クラシック名曲サウンドライブラリー
 http://classical-sound.seesaa.net/




■ 肖像権(しょうぞうけん)


「肖像権」というのは誰でも持っている権利で、むやみに自分の写真や名前などを公表されて、嫌な思いをしないための権利です。

各個人は、自分の顔写真や肖像画(似顔絵も含む)は、自分の知らないところで勝手に使われないようにする権利を持っているということです。

従って、他人を映した写真、肖像画の類をWebページ等に掲載する場合には、映っている本人の許諾が必要です。


街を歩いている人を撮影した場合も、その人の許可なく勝手に写真を掲載できません。親しい友人であっても、本人の了解をとるのがエチケットです。この肖像権は、どこの法律にも出てきませんが、著作権法上の問題として良く議論されます。



■ パブリシティ権

さらに、タレント等の有名人の場合、顔写真や名前を使って利益を得ることができるので、肖像権以外に氏名・肖像を利用する権利、パブリシティ権というものがあります。

パブリシティ権は、有名人の氏名・肖像は、コマーシャル等に利用することで経済的な利益を上げることができるので、それを保護しようというものです。

そのため、有名人の写真を無断でホームページ・ブログ・SNS等に使用することは、パブリシティ権の侵害となるので、基本的に有名人の写真は載せてはいけません。

有名人の写真を利用する場合には、写真の著作権者のみならず、写真の被写体である有名人の承諾を得なければなりません。



■ 肖像権(しょうぞうけん)とパブリシティー権について(補足)


■肖像権(しょうぞうけん)~自分の肖像を他人に使わせない人格的権利のこと

肖像権について、以下のホームページに分かりやすい解説がありましたので、以下に紹介します。

 肖像権とパブリシティー権 プライバシーとタレントの権利
 http://cozylaw.com/copy/wadai/publicity.htm

人には自分の肖像を他人に使わせないで独占する権利があり、これが肖像権と呼ばれています。

なお、関連する法律は、民法第709条です。

  民法第709条 
   『故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これに
    よって生じた損害を賠償する責任を負う。』

民法第709条は不法行為による損害賠償についての定めです。プライバシーは「法律上保護される利益」にあたり、肖像も同じように保護されるべきであると考えられています。


法律の条文には肖像権という定めは存在しませんが、そのような権利がこの世の中にはあるはずだという考え方が現在では定着しており、肖像権という権利は不法行為の一種であり、プライバシーを守るための権利です。

なお、上記のホームページには、以下の説明がありますが、写真などに誰かが写ってしまった場合、プライバシーを侵害していないかどうか考え、バランス感覚で柔軟に判断したら良いと思います。

『被写体が風景の一部として溶け込んでいたり、画像がボケていて誰なのかがわからない場合など、被写体になった人物に迷惑がかからないようなときには肖像権の問題にならないでしょう。』


■パブリシティー権~顧客吸引力がある肖像や名前の利用を専有する権利のこと

顧客吸引力を持つ有名人の肖像や名前を権利として保護する考え方が定着しており、この権利をパブリシティー権と呼びます。

パブリシティ権は、芸能人の写真を勝手に撮影されたり、その写真を本人の承諾も無く勝手に販売されるようなことを妨げる権利です。

肖像権と比較して言うと、一般人と比べ有名人の名前や肖像には経済的価値があるため、この経済的利益を排他的に支配する財産的側面を認めたものです。


なお、「女性自身」の記事が、歌手のピンク・レディーの写真を無断で使い、「パブリシティー権」を侵害されたとして訴訟された事件の最高裁判決(2012-02-02)が以下に説明されていましたので、紹介します。

 パブリシティー権、最高裁で認められる [法務コラム]|企業法務ナビ
 http://www.corporate-legal.jp/houmu_news607/
 
今回の判決は、パブリシティー権が法的権利であると最高裁判所が初めて認めた重要なものです。

問題となったのは、週刊誌「女性自身」がダイエット法を紹介した2007年2月27日号の記事で、同社側が過去に撮影したピンク・レディーのステージ写真など14枚を掲載したもの。提訴したピンク・レディー側はパブリシティー権侵害を主張していた。

最高裁判所小法廷は判決理由で、パブリシティー権を「(著名人などの)商業的価値に基づく人格権のひとつで、顧客吸引力を排他的に利用する権利」と初めて定義。法的権利であることを明言。

そして、パブリシティー権侵害になる具体的ケースとして(1)肖像それ自体を鑑賞対象とする商品に使う(2)商品の差別化に使う(3)商品の広告として使う――など「専ら顧客吸引力の利用を目的とする場合」と説明。グラビアやキャラクター商品などは侵害に当たるとの判断。

一方、著名人は社会の耳目を集めやすく、報道や創作物など正当な表現行為で氏名や肖像を使われるのは一定程度、受忍すべきだとも指摘。その上で、今回の記事は、ピンク・レディーそのものを紹介する内容ではなく、ダイエット法などを紹介する程度にとどまっているとして「顧客吸引力の利用が目的ではない」と結論付け、原告側(ピンク・レディー)の敗訴が確定。