標的型攻撃は、特定の企業や官公庁を狙って、ウイルス添付のメールを送信し、ウイルスに感染させ、内部から情報を盗み取ろうとする攻撃です。
「標的型のサイバー攻撃」の代表的な攻撃方法は、ウイルス付きの「標的型メール」で、「日本語で自分に関係ありそうな用件」なので、油断しているとダマされます。
この攻撃は、今後も増えることが予想されますので、その内容を知り、対策を考えておくことが必要ですね。まず、「標的型のサイバー攻撃」を理解するために必要な用語を以下にまとめます。
「標的型攻撃」・・・特定のターゲットを狙う攻撃のこと。
「サイバー攻撃」・・・インターネットを通じた特定の国家・企業・団体を狙った攻撃のこと。
「標的型メール」・・・官公庁・企業などの特定の人に送られるウイルス付きメールで、「サイバー攻撃」の代表的方法。
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■ 「標的型攻撃」とは
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特定のターゲットを狙う攻撃のこと。従来、ウイルスなどの危険の多くは、インターネット全体を狙う攻撃でしたが、最近増えてきたのが、特定のターゲットへの標的型攻撃です。
実は、この”特定のターゲットを狙う”という特徴が、対策を難しくしています。
ウイルス対策ソフトの多くは、ウイルスを収集し、そのウイルスの情報を登録することで、ウイルスを検知しています。
標的型のサイバー攻撃の場合、ウイルス情報を入手するチャンスが少ないため、ウイルスソフトに対策処理を組み込みことが困難です。
そのため、ウイルス対策ソフトを使っているから大丈夫だとは言い切れません。
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■ 「サイバー攻撃」とは
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”インターネットを通じた特定の国家・企業・団体を狙った攻撃。社会に混乱をもたらしたり、国家の安全保障を脅かしたりすることが目的。
「サイバー攻撃」は、インターネット経由で、パソコンなどのコンピュータに不正アクセスや不正メールを送信し、特定の国家、企業、団体にダメージを与えようします。
「サイバー(cyber)」とは、「サイバースペース(cybe spacer)」「サイバネティックス スペース(cybernetics space)」の略語です。
「電脳世界」「電脳空間」「ネットワーク世界」という意味であり、そこから、インターネットの仮想空間での事象に「サイバー」と付ける事が多くなりました。「サイバー攻撃」「サイバーテロ」「サイバー犯罪」などと呼ばれます。
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■ 「標的型攻撃」・「サイバー攻撃」の代表的な攻撃、「標的型メール」の特徴は
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「標的型メール」は、企業のビジネスマン、官庁の公務員、政府要人などを狙って、ウイルスが添付されたメールを送り、ウイルスに感染させて企業秘密・国家機密などを盗み取ろうとするものです。
「標的型メール」は、メールの添付ファイルに不正ソフトを忍ばせものが多く、メールの内容も、注意をしていないと、すぐにダマされる内容です。
また、ウイルス付きの添付ファイルは通常のOffice・PDFなどの文書で、ソフトの欠陥が狙われます。なおウイルスに感染したことに気付かず、長期間に渡ってウイルスが活動し、機密情報を盗まれます。
IPAが報告した標的型メールの手口は以下の4種類です。
(1)Webなどで公表されている情報を加工して、メール本文や添付ファイルを作成する
(2)組織内の業務連絡メールを加工して、メール本文や添付ファイルを作成する
(3)ファイルを添付せずに、不正なサイトへのリンクをメール本文に記載する
(4)日常会話的なメールを数回繰り返して、メール受信者の警戒心を和らげる
情報処理推進機構:IPA 『標的型攻撃メールの分析』に関するレポート
http://www.ipa.go.jp/about/technicalwatch/20111003.html
詳しくは、下記のブログを参照下さい。
インターネット安全教室: 企業秘密・国家機密を盗む「標的型攻撃メール」とは
http://lifesecurityup.blogspot.com/2014/11/blog-post.html
■メールは日本語で、自分に関係ありそうな用件
例えば、東日本大震災後に「地震情報」「被ばくに関する知識」「計画停電」等の震災や原発事故に関するメールを語り、ウイルス付きのメールが送られました。
なお、衆院議員に送られた攻撃メールは、
・雑誌記者をかたり
・「議員の顔写真を誌面に使いたい」といった文面で添付ファイルを開かせるメール
だったそうです。
あたかも知っている組織の人からの、通常の文面でいつも使っている文書データであれば、ついついメールの添付ファイルを開いてしまい、ウイルスなどに感染することになります。
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■ 標的型のサイバー攻撃を防ぐには
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防ぐ方法は、パソコンを扱う個人側と、企業等のシステム部門の対策が必要ですが、ここでは、パソコンを扱う個人ベースでの対策について説明します。
標的型のサイバー攻撃を、ウイルス対策ソフトで防ぐのは困難
ウイルス対策ソフトの多くは、世の中に発現しているウイルスを収集し、そのウイルスの情報を登録することで、ウイルスを検知しています。
ところが、標的型のサイバー攻撃の場合、特定の企業や個人なので、ウイルス情報を入手するチャンスが少ないため、ウイルスソフトに対策処理を組み込みことが困難だからです。
なお、標的型のサイバー攻撃を防ぐためには、以下が必要と言われています。
(1) 一見自然なメールでも慎重に判断・対応
(2) メールの添付ファイルを安易に開かない
(3) メールに書かれたURLを安易にクリックしない
(4) Windows、Office、PDFリーダなどのパソコン・ソフトを常に最新版にする
(修正情報を素早く適用する)
(5) セキュリティーソフトを必ず導入し、ウイルス・パターンは常に最新にする
メールは、安易に信用せず、疑ってかかる必要があり、安易に、メールの添付ファイルを開いたり、URLをクリックしてはダメですね。常に狙われていることを意識しておくことが必要です。
数年前までは、怪しいメールは、すぐに分かったのですが、最近は、なかなか判別が難しくなりつつあります。
メールを見て、”アレッ、いつもと違うメールがきた、何故?”と感じたら、そのメールを怪しいと感じる感覚が必要かもしれません。
私が知っている人で、怪しいと感じたメールの添付ファイルを、”面白半分に開いてウイルスに感染した人”がいましたが、このような面白半分にメールの添付ファイルを開くのはとても危険です。
['15.6.11追加] 「標的型攻撃メールの例と見分け方」:IPA
IPAテクニカルウォッチ「標的型攻撃メールの例と見分け方」:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
http://www.ipa.go.jp/security/technicalwatch/20150109.html
上記に、以下の標的型攻撃メールの例が詳しく紹介されています。この例を見ると、標的型攻撃メールが、どのようなメールか分かりますね。
・新聞社や出版社からの取材申込のメール
・就職活動に関する問い合わせのメール
・製品に関する問い合わせのメール
・セキュリティに係る注意喚起のメール
・注文書送付のメール
・アカウント情報の入力を要求するメール(その1)
・アカウント情報の入力を要求するメール(その2)